モラルの重要性を認識する
著者: David Bockモラル(やる気)というのは、絶対に必要なもののひとつですが、育てるのも評価するのも難しいものです。モラルの高いチームは時として楽しげにすごい成果をあげますが、モラルの低いチームはそうではありません。モラルの高さは、よりよい職場のためだけでなく、生産性の高いチームのためにも必要です。
数年前、私はモラルの高いチームと仕事をしたことがあります。当時のオフィスは、職場というよりも友人たちとのコミュニティのようでした。チームの生産性は非常に高いものでした。危機的状況ではさらなる努力を必要とする場合もありましたが、チームメンバーはそうした努力を進んでやってくれました。
数年後、同じチームを社内のカフェテリアで見かけたのですが、どうも楽しそうには見えませんでした。チームメンバーはお互いに交流しておらず、身振りはぎこちないものでした。近づいてみると、彼らはアイスクリームを片手に、トッピングに「カラフルな粉砂糖でなく、チョコレートのかけら」しかないことに不満を漏らしていました。この変わり様について考えてみましょう。同じチーム、同じプロジェクトなのに、彼らのモラルはすっかり変わっていました。かつては楽しげに残業していたのが、今では無料のアイスクリームにさえ不満を漏らすようになったのです。
どうしてこんなことになったのでしょう?
チームに新しいマネジャーがやってきて、間違った判断をしていたのです。彼の間違った判断はチームを間違った方向へと導き、必要のない余計な仕事を作り出していました。シニアマネジメントはチーム全体を非難しました。やがてマネジャーが責任を負わなくなると、チームは信頼を失いました。そのプロジェクトは「仕事が増えて、楽しみが減り」、モラルは損なわれました。
マネジャーは状況を改善しようとしましたが、さらに状況を悪化させることになりました。彼はチームのモラルが高かったとき、ときどきみんなで映画に出かけていたことを思い出しました。そこで「映画の夕べ」を設けました。しかしチームはお互いに交流することに関心がなく、参加者はわずかしかいませんでした。するとマネジャーは「チームに参加」しなかったことをパフォーマンスレビューに記録し始めたのです。これはさらにモラルを低下させる結果になりました。
この場合、原因はマネジャーにありました。彼の行動は逆効果をもたらしていました。チームが交流しているから、チームのモラルが高いわけではありません。モラルが高いから、みんな進んで交流しようとするのです。
私はコンサルタントとして、モラルを測定する方法を考えようとしたことがあります。「午後5:05 と午後4:55 に駐車場にある車の台数比」や「オフィス1 平方フィート当たりに見えるディルバートの漫画数」といった測定基準はどうだろうかと、冗談を言っていたものです。しかし、モラルは測定されるものではないと悟りました。モラルこそが評価の結果なのです。私たちはチームの態度を測定しています。モラルはチームのリーダーに対する信頼、チームメイトに対する信頼、物事を成し遂げる自分の能力に対する信頼の尺度なのです。
ソフトウェアプロジェクト・マネジャーとして、あなたの仕事はモラルの高い職場づくりをすることです。もしチームメンバーがあなたをリーダーとして尊敬し、あなたに話せば結果が変わる思えば、モラルは改善されるでしょう。
モラルが高くなればなるほど、従業員の満足度も高まり、離職率も低くなり、生産性も高まります。それに、幸せな人たちがそばにいる方がずっと気持ちがいいでしょう。そう思いませんか?