見積もって見積もって見積もる
著者: Richard Sheridanほとんどのプロジェクトでは、プロジェクトの開始時(最も小さく見積もっているとき)にプロジェクトを見積もらせます。その後、プロジェクトの進行中(開始時の見積もりよりも大きいことがわかっているとき)に、見積もりを再検討することはありません。さらに悪いことに、もとの見積もりを実際の結果と比較して、見積もり技術を磨くということもありません。
私の組織では慣習として、プロジェクトごとに毎週見積もっています。以前見積もったけれどもまだ作業していないタスクであれば、再度見積もります。なぜこんなことをするのだと思いますか?
これにはいくつか理由があります。
- 見積もれば見積もるほど、見積もりは改善します。
- 今の方が以前よりも多くのことを知っており、それが見積もりに役立つことがあります。
- 思っていたほど知らなかったことがわかり、それが見積もりに役立つこともあります。
- 新しい技術を取り入れるとき、たいていの場合、初期の見積もりには「不安」が加味されています。新しい技術について学ぶにつれて、その不安は小さくなっていきます。
- この世界では、見積もるということは「会話」をたくさんするということです。私たちはグループとして見積もるためです。
結局のところ、見積もりを改善する一番の方法は、実際にどうだったのかを必ず記録して、チームがどれくらいうまく見積もれたかフィードバックを得ることです。ただし、ひとつだけ警告しておきます。この情報を使ってチームを責めてはいけません。見積もりの本当の説明責任とは、見積もりを当てることではなく、見積もりが外れそうに思ったらすぐに警鐘を鳴らすことなのです。
見積もりとフィードバックの力を理解してもらうために、単純なゲームを紹介しましょう。サイズを順に大きくした空ビンを3 つ用意して、ジェリービーンズを入れていっぱいにしましょう。それぞれのビンごとに、いっぱいにするのにジェリービーンズがいくつ必要だったかを記録しておきます。
見積もりについて学習させたいメンバーを集めて、一番小さいビンのジェリービーンズの数をメンバーに見積もってもらいましょう。私がこれをやるときには、ペアで作業させるようにしています。
見積もりを考えるために少しだけ時間を与え、それから見積もりを書かせます。データが集まったら、各ペアに見積もりを声に出して読ませ、データを収集します。これらの見積もりをホワイトボードやフリップチャートに書くのです。2 番目のビン、3 番目のビンでも同じことをします。
最後に、メンバーに対して、「これが見積もりです」と説明し、彼らの協力に感謝して、あなたが立ち去る前に何か質問がないか尋ねましょう。これはいつもよく効きます。必ずだれかが、実際それぞれのビンにいくつジェリービーンズがあったのか尋ねるはずです。そう、彼らは実際にどうだったのか知りたいのです!
しばらくやきもきさせましょう。それから、それがいかにくだらないことかを話すのです。結局のところ、ただのジェリービーンズなのですから。
さて、あなたは彼らをこうあって欲しいと思う状態へと導きました。それでは、彼らに聞いてみましょう。これまで何回くらいデータを入手し、重要なことについてチームにフィードバックしましたか?
見積もりをバカにして重要ではないとはねつけたことはありませんか?
チームへのフィードバックを見落とすようなことは、もう二度と起こらなくなるでしょう。