自らに誠実であれ
著者: William J. Mills飛行機で旅行したことのある人なら、機内のセーフティデモにおいて、まず最初に自分の酸素マスクを着けて、その後、お年寄りや子どものマスクを手伝うように指示されるのを覚えているはずです。もし自分のマスクより先に他人のマスクを着けるのに必死になってしまうと、それがうまくいく前にあなた自身が酸欠になって死んでしまうかもしれません。そうなれば結局全員が死んでしまうのです。自分のマスクをすばやく付けることで、他人の世話に100% の力を発揮できるようになります。そうすれば最終的に全員が生き残れるのです。
私は何年も数々のすばらしいプロジェクトが失敗するのを見てきました。たとえ、成功するのに最高の条件がそろっていたとしてもです。
これからお話しするプロジェクトには以下の条件がそろっていました。
- 無限の市場潜在力
- すぐれた製品
- 驚くべき能力のある、権限を与えられたチーム
しかし、プロジェクト・マネジャーは自分自身をコントロールできず、チームの面倒を見られませんでした。いわばチャンスが酸欠で死んでしまい、プロジェクトは失敗してしまったのです。
チームをマネージする(manage)、あるいは、リードする(lead)ためには(この2 つには明らかな違いがあります)、プロジェクト・マネジャーは自らを完全にコントロールできている必要があります。自分の個人的目的、ビジョン、ミッションも、個人的な仕事上の目標も、きちんと理解しなくてはなりません。プライベートがしっかりしていれば、マネジャーは自信がもてます。自信がもてないと、マネジャーは日々の苦悩で簡単に吹き飛ばされてしまいます(オフィスの内でも外でも)。たとえ賢明で有能なマネジャーであっても、目の前にあるマネジメントタスクに集中できなくなってしまうのです。
そうなると、次から次へとさまざまな症状が現れはじめます。
- マネジャーは目に見えて注意散漫になり、落ち着きを失っているように感じ始めます。
- マネジャーはうまくいっているように思えなくなり、プロジェクトを守るために立ち上がって必要なことをやる意欲がなくなったように感じます。
- 無防備になったチームは、コミュニケーションの断絶を感じ始めます。
- コミュニケーションの断絶は(本来のプロジェクトの基準とは合わない)ずれたタスクを生みます。
- ずれたタスクとその状況を正常に戻せないマネジャーは、チームの失望をまねきます。
- チームのモラルは失われ、すでに制御不能なプロジェクトはさらに混乱します。
私は個人的に、毎日、毎週、半年ごとに、自分が人生のどこにいるのかレビューする時間をとっています。毎日および毎週のレビューは、短期的目標について私に思い出させてくれます。半年ごとの瞑想(白紙での計画)は、個人的に、仕事的に、順調に進んでいるかを確認し、長期的目標について評価するよい機会になります。
私たちの人生は常に意外な出来事に満ちていますが、短期的目標と長期的目標があれば、混乱をやりすごして、個人的な仕事上の進路を再調整することができます。こうした計画があれば、手元にあるタスクにもっと注力できるのです。これにはチームを成功に向かって活気づけるようチームを管理することも含まれます。
さあ、酸素マスクが落ちてきました。あなたは最初にだれを助けようとしますか?