結果を想定して始める

おめでとうございます。あなたはだれもが希望する夢のようなソフトウェアプロジェクトのプロジェクト・マネジャーになりました。会社の期待はすべてあなたの肩にかかっています。あなたの本能がすぐにでも机に向かってプロジェクトスケジュールのドラフト作りを始めるよう語りかけているんじゃないですか?

プロジェクトを成功させるチャンスを高めるには、まず最初にやるべきことがたくさんあります。そのひとつが「結果を想定して始める」ことです。

最初に、SOW(Statement of Work、作業範囲記述書)や契約、顧客がほしいものや必要としているものを教えてくれるドキュメントが必要になります。「ほしいもの」と「必要としているもの」の違いを理解しましょう。(私はSUV がほしいのですが、必要としているのは燃費のよい小さな車です)。そうすれば、あなたは両方を組み合わせて、次のような質問に答えやすくなるでしょう。「私たちは何を達成しようとしているのですか?」

「顧客にとって、会社にとって、そして私にとって、このプロジェクトを成功させるものは何でしょうか?」

「成功を実現するには何が必要なのですか?」

最後の質問には単なる「適度な利益」のほかにも、いろいろな答えがあります。あなたは顧客にまた自分を採用してほしいでしょうし、プロジェクトのチームメンバーにまた自分と一緒に仕事をしたいと思ってほしいでしょうし、仕事を任せるのに見合った能力を発揮し続けたいでしょう。

プロジェクト・マネジャーとして成功するために一番大事なことは、適切な態度と適切なピープルマネジメントスキルです。プロジェクトのチームメンバーを集めたキックオフミーティングを開催して、SOW をレビューし、何を実現しなければならないのか共通理解を得ましょう。

次に、プロジェクトのスコープを定義して、WBS(Work Breakdown Structure)を作りましょう。満たさなくてはならない品質指標を特定しましょう。スケジュールを策定しましょう。どれくらいの資金が必要か計算しましょう。これらスコープ、品質、期間、コストが監視・コントロールすべき基本要素であり、プロジェクト計画の土台となります。

プロジェクトを管理可能なサイズに分割できたら、プロジェクトの品質要求を満たすために最終成果物がもつべき特性が何であるかを特定しなければなりません。プロジェクト(スコープ)を適切なサイズに分割して、どんな「ルール」(品質)に準拠しなくてはならないかを明らかにすると、プロジェクトを完了するのにどれくらいの時間がかかるか判断しやすくなります。

プロジェクトを完了するのにどれくらいの時間が必要になるかを見極めるには、個々のタスクの期間、タスク間の依存関係、具体的な制約、利用可能なリソースを決める必要があります。コストは一番最後になります。コストは通常、あなたがやる必要のある仕事と、その仕事を完了するのに必要な時間とリソースの関数で表現されるためです。例えば、あるタスクのためにコンサルタントを雇う場合にも、その人が1 週間仕事をするよう計画するのと、その人がプロジェクトで10 か月仕事をするのとでは、コスト負担は同じにはならないでしょう。そして最後に、調達、コミュニケーション、人的資源についても検討しましょう。

目的を持って始めましょう。そうすれば成功のチャンスははるかに高まります。