プロジェクト・マネジャーは契約管理者である

あなたはプロジェクト・マネジャーとして変更管理に責任があります。あなたは要求をドキュメント化し、変更を実行するためのプロセスをまとめます。しかし、変更が起こったことをあなたが知らなければ、どうやって変更を管理できるのでしょうか?

クライアント側はあなたのチームの担当者と直接コンタンクトを取ることがあります。担当者はクライアントを満足させようと、契約上の義務のことをよく知らずに、追加のトレーニングセッションに合意したり、ソフトウェアを変更したりします。そして、彼はそのことをあなたに伝えるのを忘れたり、手遅れになってから切り出すのです。こうした変更には無害なものもあるでしょうが、問題を引き起こすものもあります。例えば、黙ってソフトウェアのフィーチャーの一部を変更すると、その変更がマニュアルに記載されないままになるおそれがあります。これはマニュアルの書き直しや印刷のやり直しを引き起こし、想定外の時間とコストがかかることになります。

クライアント側とプロジェクトチームの連絡を禁止したくなるかもしれませんが、それではコミュニケーションが台無しになります。契約には、クライアントがチームメンバーと話をする権利の有無について、通常は記載されていません。それでは、チームメンバーとクライアントが連絡を取るのを、プロジェクト・マネジャーはどうやってコントロールすればよいのでしょうか?

ドキュメント化されていない変更が実施されないよう、すべてのチームメンバーはスコープや期間、双方の権利と義務を含めた契約について、熟知しておく必要があります。契約上のポイントと今後の変更を全員に通知する仕組みを用意して、全員がクライアントの要求を分析できるようにしておくべきです。そのためには、変更管理とプロセス処理をドキュメント化し、それをチームメンバーに周知させる必要があります。

チームメンバーに重要な契約事項と変更管理プロセスについて教えるときには、ワークショップが非常に効果的なツールになります。トレーニングのためのワークショップをまず最初に開きましょう。キックオフミーティングのアジェンダに、そのためのセッションを入れておいても構いません。いずれにせよ、プロジェクトのチームメンバー全員がそれについて知っていることを確認しなくてはなりません。

特に注意が必要なのは、プロバイダ、サプライヤー、下請け業者といった、プロジェクトで仕事をしているサードパーティです。クライアントが彼らにアクセスするのをコントロールするのは困難であり、細心の注意を必要とします。彼らとクライアントとのあいだに独立したビジネス関係があるときもあります。下請け業者がクライアントの要求を受け入れて変更を実施し、元請けであるあなた宛てに請求書が送られるというのは、めずらしい話ではありません。

こうした問題に対処する一番の方法は、下請け業者とクライアントが直接スコープについて交渉することを避けることです。プロバイダにも呼び掛けて、プロジェクトにかかわる全員に、チームとクライアント双方の契約上の関係について教えるよう提案しましょう。そして、それらを変更管理プロセスに取り入れましょう。

忘れないでください。プロジェクトの成功は、クライアントの満足が第一です。重要なのは、変更を認めないことではなく、コントロールすることです。そのためにチームメンバーがやるべきことは、潜在的な変更を見つけて、変更管理プロセスを通してプロジェクト・マネジャーであるあなたに伝えることです。そうすれば、あなたはクライアントとの関係をうまくコントロールし、時間とコストを犠牲にすることなく、彼らのニーズを満たせるでしょう。