よいスポンサー、わるいスポンサー、ひどいスポンサー
著者: Jorge Gelabertどんなプロジェクトにもスポンサーは必要です。スポンサーはプロジェクトを立ち上げる人であり、プロジェクトが成功裏に完了するよう資金提供する責任のある人です。通常それは、組織で地位の高い人であり、プロジェクトを支持し、プロジェクト・マネジャーの手に負えない課題に直面したときには仲裁に入ります。プロジェクトが大きければ大きいほど、強力なスポンサーの存在が重要になってきます。
私の経験から言って、スポンサーには3 種類あります。よいスポンサー、わるいスポンサー、ひどいスポンサーです。自分のスポンサーがどのタイプなのか認識し、うまく対応する方法を知っておくことが重要です。
最悪なのは「ひどい」スポンサーです。通常このタイプのスポンサーは他部門からアサインされます。そのため、プロジェクトが実現するものやその用途に対して、彼らが個人的に投資しているわけではありません。このタイプのスポンサーはプロジェクト・マネジャーの言うことに耳を貸すことなく、自分をプロジェクトにアサインした上司が定めた気まぐれな締め切りにとらわれがちです。そして通常は、傍観者を決め込みます。アサインされるスポンサーは頻繁に変わる可能性があり、継続性がありません。
このタイプのスポンサーを見つけるのは簡単ですが、その問題に対処するのは簡単なことではありません。プロジェクト・マネジャーはスポンサーと協力して、スポンサーの望みに答えなければなりません。残念ながら、たいていの場合、それはプロジェクトの成功とは一致していません。ひとつの解は、代理のスポンサーを見つけることでしょう。代理のスポンサーとは、プロジェクトの成果物から恩恵を得る人やグループであり、通常はスポンサーが提供してくれる助けを、代わりになって提供してくれるような人やグループのことです。あるいは、影響力のある人に対して、現在のスポンサーとともに自分たちのために仲裁に入るよう頼んでもよいでしょう。これがうまくいくかどうかは、プロジェクト・マネジャーとしてあなたが組織内にどれだけネットワークをもっているかに強く依存します。
「わるい」スポンサーは、また違った形でプロジェクトを妨げます。彼らはプロジェクト・マネジャーが処理する日々の事柄にも関与してきて、チームメンバーと直接やりとりし、不適切なプロジェクト判断をするおそれがあります。これはプロジェクト・マネジャーの役割を横取りするもので、チームを混乱させることになります。あるいは、弱いスポンサーかもしれません。必要なリソースを提供できなかったり、ほかの業務を抱えこんでいたり、プロジェクトに指針を与える時間がないかもしれません。
事前にスポンサーの役割と責任を明確に定義することで、「わるい」スポンサーという問題を回避しましょう。出しゃばりなスポンサーの場合、スポンサーの役割に関する「職務記述書」を提示することによって、彼らの振る舞いを変えさせられるかもしれません。弱いスポンサーであれば、何が期待されているのかを教えることで、その役割が果たせていないことを自覚してもらえるかもしれません。もしくはもっとよいスポンサーをアサインしてもらえるかもしれません。
理想的な状況は「よい」スポンサーがいることです。よいスポンサーは自分の役割と責任を理解して、それに応じた振る舞いをします。よいスポンサーはプロジェクトの支持者であり、リソースを提供し、必要に応じて力を貸し、プロジェクト・マネジャーの判断をサポートします。彼らはプロジェクトの成功に個人的に投資している管理職なのです。
スポンサーが「よい」、「わるい」、「ひどい」のいずれであろうと、プロジェクトを管理するのと同様、スポンサーを管理するのはプロジェクト・マネジャーの責任です。プロジェクトについてスポンサーに常に詳しく情報を伝えて、必要なときにだけスポンサーを巻き込みましょう。スポンサーにプロジェクトをコントロールさせてはいけません。スポンサーのタイプを認識して、それに応じて備えることを学びましょう。