みんなが聞きたいことは何ですか?

プロジェクトのコミュニケーションは、「歩き回ることによるマネジメント」から正式なプレゼンテーションまで、さまざまな形をとります。私はコミュニケーションこそがプロジェクトで一番重要なアクティビティだと考えています。

プロジェクトの情報を人から人へと伝えるために、一番難しいのに一番よく使われている方法は、正式なプレゼンテーションです。人前で話すのは死や歯医者よりも恐ろしいという調査結果まであります。

たいていのプレゼンテーションは長すぎで、退屈で、詳細に入り込みすぎています。あなたの最近のプレゼンテーションを調べてみましょう。「パワーポイントによる死」(Death by PowerPoint®)†をまねいていないか、確かめてみてください。もし答えが「イエス」であれば、もっと聞き手に伝わるようプレゼンテーションを再設計しましょう。「達成したいことに一番適したプレゼンテーションは何だろうか」と自問しましょう。もし少人数のグループで意見交換したいのであれば、フリップチャートやホワイトボードを使って、関心のあるところや合意がとれたところを記録するというテクニックが役に立ちます。

もし幹部に具体的なプロジェクトを承認してほしい、もしくは新しいプロジェクトの感触について同意してほしいのなら、マルチメディアスライドショーを使うとよいでしょう。どんなテクノロジーを利用するにしても、あなたが聞き手に売り込むのはアイデアであって、スライドやポスター、レーザー光線ショーではないことを自覚しましょう。

アイデアを効果的に売り込むためには、左脳の論理と右脳の創造の両方をかみ合わせる必要があります。統計的な証拠を使いましょう、ただし、記憶に残るような形で見せましょう。カラーチャートやグラフを使うとわかりやすいでしょう。箇条書きは少しだけにしましょう。

箇条書きの背景にあるストーリーを説明するのです。文字を使いすぎて、出席者が自分で読んだあとに、あなたが大声で読み上げるようであってはいけません。

直接パワーポイントに書き始めるのではなく、事前にホワイトボードや付箋紙を使ってプレゼンテーションを練り上げましょう。付箋紙を使って何時間もブレインストーミングする作業をムダだと思ってはいけません。付箋紙を使うと全体像を見ながらアイデアを簡単に並べ変えることができます。付箋紙を「類似性」のあるグループにまとめて、同じような概念を組み合わせることで、どうやってアイデアを記憶に残るストーリーへとまとめ上げるか考えましょう。常に「中心となるポイントは何なのか」、「聞き手にとってなぜそれが重要なのか」という質問に立ち返りましょう。

好奇心を喚起したり、思いがけないものを見せたりして、聞き手の関心を引きつけてから、数字が聞き手に伝わるよう具体的に図示しましょう。例えば、ウォールストリートジャーナルのある記事では、会社に多大な損害を与えた企業幹部について、もし100 ドルの新札を積み重ねると、その損害額はマディソンアベニューにあるオフィスの92 階に達するほどだと説明しました。これが記憶に残るイメージです。

疑わしいときには、要点以外のすべてを削除してしまいましょう。詳細な情報を要求されたときのために、あとで読める資料を用意しても構いません。持ち帰り用のドキュメントがあれば、事実がゆがんで伝わることはなくなります。このアプローチを使うと、あなたは要点を簡潔に提示できるようになります。そして、社長がゴルフのスタート時間のためにプレゼンテーションを30 分から5 分に縮めるよう要求したときも、その場でうまく要約できるはずです。